しばらく歩くとサイコロの顔をした番兵に出会いました。

「おや、人間の子供がこんな所で何をしている?

ここは虹の女王様の治める王国だ。人間は来てはいけない決まりになっている。」

「僕は、家に帰りたいのに帰り方が分からないんです。」

「それは大変だね。女王様に報告しなくては!」

馬、牛、犬、ロバ、ラクダが引く馬車に乗せられて、僕はきらびやかに飾られた都に連れて行かれました。その中のひときわ綺麗で、大きくて、豪華な塔の中に有る女王様の謁見の部屋へ案内されました。

「人間の子供よ。」

女王様の声は和音で響き渡って幾重にも幾重にも重なって聞こえましたが、とても聞き取りやすく、穏やかで、歌声のようでした。

「お前は直ちにこの国を去らなければいけません。

しかし、お前が自分の意思でこの国に来たのではないとすれば・・・

少し、大変な試練が待ち受けているかもしれません。」

「それは一体、どういったものなのでしょう?」

「この塔の一番上、屋根よりも高いところに一本のポールが立っています。

人間の世界に続く階段はその、ポールの一番高いところにあるのです。」

「そこから落ちたらどうなるのですか?」

「最悪の場合・・・」

女王様は美しい顔を険しくしながら言葉に詰まりました。

「やります。僕はこの塔の一番高いところよりもっと高いところへ登らなくてはいけないんです。家に帰らないとだめなんです。」

つぎへ