ぷかぷかぷかぷか、波に揺られていつまでも、何時になっても向こう岸は見えてきません。

「おかしいなあ。島ぐらい見えてもよさそうなのに。」

「海の水で凍えて寒くなってきたよ。何といっても僕の体は鉄で出来ているからね。」

なんだかお腹も空いてボーっとしてきました。

ちょっと前の出来事が次から次へと頭をよぎります。

「走り馬に注意」

「太い棒あります」

「この先に温泉はありません」

「恋には薔薇の棘」

「ハナモゲラ」

 ・

 ・

 ・

「迷い猫にコウモリ」

 ・

 ・

 ・

「割れ鍋に目隠し」!?

はっと気付きました。

これはすべてでたらめで、幻なんだ、と。

目を見開いてみれば海などなくて、自分が座っているのが見たことも無い位大きな背中だという事に気がつきます。

まぼろしは解けました。

大入道はめをぱちくりさせながらこちらを見ています。

「あれ、僕がいたのは海で、体は大きな釜に変えられていて、男の子を乗せて・・・あれ、あれれ・・・?」

もうみんな気がついたみたいです。気がつけばバッタ君も傍にいてきょろきょろしています。

つぎへ