「下り坂が終わったらどうするんだろうね?」

「さあ?また歩いていけば会えるかもね。今度は助けられそうにないけど・・・」

道が下り坂になったので僕たちは軽快なステップで歩いて行きました。

やがて、おかしな看板を沢山目にするようになりました。

「走り馬に注意」

「太い棒あります」

「この先に温泉はありません」

「恋には薔薇の棘」

「ハナモゲラ」

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なんだろう?あれ。と思っていると道端に赤い屋根の大きな家が見えてきました。

大きな家の窓辺には一人のおばあさんがいました。

「おや、子供とは珍しいねえ。さっき通った大きなダンゴムシも相当珍しかったがね・・・」

「おばあさんはここで何をやっているの?僕たちどこへ行くのかわからないんです。」

「ほっほっほっ、こりゃまた珍しい、子供の中でも迷子というさらに珍しい子供だよ。」

「おばあさん、ここがどこなのか教えてください!」

「私の名前は看板屋。向こうから歩いて来たなら見たはずだよ。私の作品たちを。」

「作品って、あの変な意味不明な看板たちのこと?」

「意味不明だって??それは分かろうと思わないから分からないのさ!それを必要としている人が見ればそこに答えがちゃんと書いてあるように出来ているのさ!」

「うーん、わからなかったなあ・・・」

おばあさんは怒り出して、だんだん赤くなって来ました。

「これだから子供ってやつは!!だから、迷子なんてものになるんだよ!!」

どんどん赤くなって、どんどん膨れてきました。

もう部屋には居る場所がなくなってきました。

僕たちが家の外に出ると、もう部屋は一杯になって、窓からおばあさんの膨れた部分があふれ出しているのが見えました。

窓を破って、ドアが外れて、屋根を突き抜けて、おばあさんは膨れていきます。

僕たちは一目散に逃げ出しました。

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