「夜の巨人」 あとがき

とじる


さて、これは僕が作った絵本の中では4作目に当たります。
今回のテーマは「夜」です。ある秋の日、知り合いの個展を見に行くために原付を走らせ東京のオフィスビル街、下町から千葉の市川まで、暮れ行く夕日から移り変わる夜の夜景を楽しみながら移動した体験を元に描きました。この物語にはそこで感じた時間の流れがコンセプトとして流れています。僕は基本的に夜が好きです。今までの幾つもの絵のイメージを夜という空間にもらっています。なので今回は一応夜の始まりから終わりを時間の流れとして設定しました。
初めに出てくる光は一番星っぽいですが、もっと抽象的で速度の速いイメージです。役割的には見守るもの、と言った感じです。
巨人たちは最初、自分の中でビルのイメージがありましたが、体積はあるが、もっとふわふわして軽いものな気がします。窓の明かりの化身だったり、コンクリートと鉄と言う抑圧された体から抜け出した建築物の魂のような物であるかも知れません。
途中ややリアリスティックな夜景の光景が出てくるのは読者の世界観を一瞬現実に引き戻してまたすぐに元の物語的世界に戻る事で、現実とのリンクを図ったつもりですが、どうでしょう?
後半は夜を飛び越えて宇宙のイメージです。銀河系の片隅の地球と言う星の一つの町にしか過ぎない存在。それが宇宙と言う巨大な物と夜という媒介を通して自然に融和して行く、極小から極大へ、瞬間から無限へ、今現在と言う時空を通して繋がっている、そしてそれは微分的に閉じていて無限に繋がっている、という最近のテーマを一部加味してみました。
ぶりを


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